製造業の自動化では、ロボットやIoTといったデジタル技術がまず思い浮かびますが、自動化を検討・推進する上では、「からくり改善®」(日本プラントメンテナンス協会の登録商標)もとても重要な技術体系です。
からくり改善®は、「からくり」とは江戸時代のロボットと言われる「からくり人形」と同じ着想であることから来ているとのことで、日本プラントメンテナンス協会のHPによると以下のように定義されています。
「現場にある困り事や課題を、そこで働く人たちが見つけ出し、重力などの自然エネルギーや、歯車やてこの原理などの簡単な機構・仕組みを用いて、環境負荷を少なくローコストに改善するもの。」
自動化機構の実現という視点で見ると、からくり改善®には以下のようなメリットがあります。
(1) 自動化機構の故障率を低減できる
ロボットなど電子的な機器で構成された装置は、構成部品が非常に多いため故障する確率が高くなる傾向がありますが、単純な機構で実現できるからくり改善®は、自動化機構にうまく活用できれば故障率の低減にも貢献できます。自ら考え工夫した機構であれば、どのような仕組みであるか理解しているため故障してもすぐに対応できますし、機構自体を改善し更にレベルアップすることも可能になります。
(2) 自動化機構の実現コストを低減できる
からくり改善®で実現するシステムは、比較的単純な機構であり、使用する材料もそれほど特殊な部品ではないため、安価に作ることができます。知恵を使えば、安く自動化機構を実現できるということです。
(3) 人工的なエネルギーは極力使わない
からくり改善®の主な動力源は、重力、人の力、弾性力、ゼンマイ、浮力、自然のエネルギー(風力や水力など)です。そのため、自動化・省力化を推進しつつ、同時にカーボンニュートラルへの対応にも貢献できる自動化機構を実現できます。
(4) 現場の人材育成につながる
からくり改善®は、自ら職場の無駄や課題を発見し、それらを自ら知恵と工夫で改善する活動です。したがって、現場の人材育成にも貢献できる考え方です。
つまり、スマートファクトリー実現、カーボンニュートラル対応のためには必須の知識と言っても過言ではありません。しかし、治具設計と同様、からくり改善®ができる人材の育成は簡単ではなく時間がかかります。そのため、人材育成からではなく、以下のように恩恵を受けつつ学ぶ取り組み方を勧めます。
(1) SUS社などに登録されている過去事例を見て流用する
すごい「からくり改善®」でなくても、日常的に活用できるアイデアは商品としても販売されています。SUS社などでは、基本的な仕組みをサイズ変更して提供できるようにして販売してくれていますので、まずは過去の事例ですぐに活用できるところから実際に取り入れて見ることも有用です。
(2) 「からくり改善くふう展」に参加する
「からくり改善くふう展」は、からくり改善®に取り組んでいる各社が取り組み事例を出展し説明してくれる展示会のようなものです。一般的な展示会と違い、見に来る方がお金を出して入場し教わりに来る仕組みとなっています。考えた人と触れ合うことで、どのように取り組めばいいかのヒントが得られます。
また紹介する方にもメリットがあります。社外の人に紹介するという活動は、説明しているときに様々な新しい着想も得られます。出展することは、自社の活動を更にレベルアップすることにもつながります。
(3) 講習会に参加する/過去事例が載っている本を購入して勉強する
日本プラントメンテナンス協会では、講習会や出版物による啓蒙活動も行っています。このようなサービスを活用して、基礎を学ぶことも大切です。
・日本プラントメンテナンス協会 : https://jipm-event.com/karakuri/
・からくり改善くふう展 : https://jipm-event.com/karakuri/exh/exh-guide
第27回 2022年11月10日~11日 ポートメッセなごや
・SUS株式会社 アルミパイプ構造材 https://fa.sus.co.jp/products/gf/
・からくり改善事例集 https://www.amazon.co.jp//dp/4526063053
2022年10月1日
ケイデンスコンサルティング合同会社
代表社員 川下敬之
製造業の自動化では、ロボットやIoTといったデジタル技術がまず思い浮かびますが、自動化を検討・推進する上では、「からくり改善®」(日本プラントメンテナンス協会の登録商標)もとても重要な技術体系です。
からくり改善®は、「からくり」とは江戸時代のロボットと言われる「からくり人形」と同じ着想であることから来ているとのことで、日本プラントメンテナンス協会のHPによると以下のように定義されています。
「現場にある困り事や課題を、そこで働く人たちが見つけ出し、重力などの自然エネルギーや、歯車やてこの原理などの簡単な機構・仕組みを用いて、環境負荷を少なくローコストに改善するもの。」
自動化機構の実現という視点で見ると、からくり改善®には以下のようなメリットがあります。
(1) 自動化機構の故障率を低減できる
ロボットなど電子的な機器で構成された装置は、構成部品が非常に多いため故障する確率が高くなる傾向がありますが、単純な機構で実現できるからくり改善®は、自動化機構にうまく活用できれば故障率の低減にも貢献できます。自ら考え工夫した機構であれば、どのような仕組みであるか理解しているため故障してもすぐに対応できますし、機構自体を改善し更にレベルアップすることも可能になります。
(2) 自動化機構の実現コストを低減できる
からくり改善®で実現するシステムは、比較的単純な機構であり、使用する材料もそれほど特殊な部品ではないため、安価に作ることができます。知恵を使えば、安く自動化機構を実現できるということです。
(3) 人工的なエネルギーは極力使わない
からくり改善®の主な動力源は、重力、人の力、弾性力、ゼンマイ、浮力、自然のエネルギー(風力や水力など)です。そのため、自動化・省力化を推進しつつ、同時にカーボンニュートラルへの対応にも貢献できる自動化機構を実現できます。
(4) 現場の人材育成につながる
からくり改善®は、自ら職場の無駄や課題を発見し、それらを自ら知恵と工夫で改善する活動です。したがって、現場の人材育成にも貢献できる考え方です。
つまり、スマートファクトリー実現、カーボンニュートラル対応のためには必須の知識と言っても過言ではありません。しかし、治具設計と同様、からくり改善®ができる人材の育成は簡単ではなく時間がかかります。そのため、人材育成からではなく、以下のように恩恵を受けつつ学ぶ取り組み方を勧めます。
(1) SUS社などに登録されている過去事例を見て流用する
すごい「からくり改善®」でなくても、日常的に活用できるアイデアは商品としても販売されています。SUS社などでは、基本的な仕組みをサイズ変更して提供できるようにして販売してくれていますので、まずは過去の事例ですぐに活用できるところから実際に取り入れて見ることも有用です。
(2) 「からくり改善くふう展」に参加する
「からくり改善くふう展」は、からくり改善®に取り組んでいる各社が取り組み事例を出展し説明してくれる展示会のようなものです。一般的な展示会と違い、見に来る方がお金を出して入場し教わりに来る仕組みとなっています。考えた人と触れ合うことで、どのように取り組めばいいかのヒントが得られます。
また紹介する方にもメリットがあります。社外の人に紹介するという活動は、説明しているときに様々な新しい着想も得られます。出展することは、自社の活動を更にレベルアップすることにもつながります。
(3) 講習会に参加する/過去事例が載っている本を購入して勉強する
日本プラントメンテナンス協会では、講習会や出版物による啓蒙活動も行っています。このようなサービスを活用して、基礎を学ぶことも大切です。
・日本プラントメンテナンス協会 : https://jipm-event.com/karakuri/
・からくり改善くふう展 : https://jipm-event.com/karakuri/exh/exh-guide
第27回 2022年11月10日~11日 ポートメッセなごや
・SUS株式会社 アルミパイプ構造材 https://fa.sus.co.jp/products/gf/
・からくり改善事例集 https://www.amazon.co.jp//dp/4526063053
2022年10月1日
ケイデンスコンサルティング合同会社
代表社員 川下敬之