私は2016年からさがみはらロボット導入支援センターでコーディネーターとして活動しておりますが、これまでコラムでは取り上げてきませんでしたので、改めて紹介してみます。
センターは、2015年9月に開所し、主に産業用ロボットの活用に関する相談の他、視察やセミナー参加を加えると、相模原市だけでなく全国から延べ2000社以上、6000名以上の方にご利用いただいている活動です。
開所当初は、まだロボットに対する認識も普及していなかったため、システム展示や啓蒙セミナーなどを中心とした活動をしておりました。広くロボット活用の普及を目指し活動してまいりましたが、昨今では導入に着手した企業はどんどん導入を進めているが、なかなか導入に踏み切れない企業は取り組みがないまま、二極化が進んでいると感じております。支援メニューにおいては様々な変遷がありましたが、最近では以下のような取り組みを中心に行っております。
まずは、相談・コンサルティング活動です。
センターの名称からロボットの導入に関して相談するところと思われがちですが、ロボットを導入したいというより会社を変えていきたいということが主な相談内容になります。センターの方針としても、ロボットありきの助言は行わないことにしております。
ロボットは解決手段の1つに過ぎませんから、経営計画やアクションプランが明確で、その中にロボット導入が含まれているなら、ロボット導入をテーマとして取り上げることは問題ありません。しかし、単にロボットを導入したいという話だけの場合は、大抵は会社のためにならない検討になってしまいます。また、ロボットシステムは非常に高価ですし、課題解決の手段はロボット以外にも安価な方法で対応できるケースも多々ありますので、そのような検討が不十分なままで、最初からロボット導入と決めてかかるのは適切ではありません。
実際、相談されたケースは、まずは現場改善が先であるという話になることが非常に多いです。人が移動するときに注意が必要だったり、工具や材料の置き方が整然としていない生産現場では、ロボットの導入は難しいのです。しかし、改善を助言する場合も、単に改善をしましょうと勧めるのではなく、ロボット導入に向けてどういう取り組みをしていけばいいかといった観点で助言しております。
次に、ロボット導入に限らず、生産現場でデジタル技術を活用するための各種のセミナーの企画や実施を行っております。
最近では、テーマを絞り込んで、生産現場の特定の課題を解決するセミナーを開催しています。例えば、塗布工程のお悩みに対し、ディスペンサーのメーカーの協力を得て、素早く高品質に塗布作業を行う技術や装置を紹介していただきました。また、工場内の搬送問題を改善したいと考えている方向けに、AVGに実際触っていただくようなセミナーも行いました。
また、各社の生産現場自体を使い、社員の方々が自分たちで工場をどのように自動化していったらいいかを考える力を身につけるといった人材育成にも取り組んでおります。SIerなど外部の協力会社のロボットシステムの提案が自社に適切であることを判断するためには、自社である程度、自動化について考える力も必要です。外部のSIerはあくまで設備の設計の専門家ですから、会社をよくするといった全体感をもった取り組みを考えることはなかなか困難です。そのため、自動化などデジタル技術を活用した改善を自社でイメージできる人材の育成も重要です。
活動は、センターの職務の範囲内であれば、相模原市外の企業でも無償で対応しております。東京都の企業でも大丈夫です。具体的な支援では、有償になることありますので、まずは相談いただいて、進め方を確認いただければと思いまます。
皆様のご来所をお待ちしております。予約に関しては、以下のホームページをご参照ください。
https://www.sic-sagamihara.jp/robot/
2022年6月1日
ケイデンスコンサルティング合同会社
代表社員 川下敬之